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はっとりみつる / さんかれあ (2)

はっとりみつる / さんかれあ (1) - hybrid issue(s) つづき。ラブコメというジャンルでは、紆余曲折の果てに主人公とヒロインが結ばれることで物語がゴールを迎えるという展開がオーソドックスな形式だといえるかもしれない。その場合、「恋愛の進展を阻む…

はっとりみつる / さんかれあ (1)

大雑把なあらすじはこうだ。ゾンビ大好きな高校生・降谷千紘は、名門女子校に通う良家の子女・散華礼弥(さんか・れあ)と偶然出会い、彼女とともに死んだ生物を蘇らせる「秘薬」を生成する。しかし、父親の異常な束縛と偏愛に絶望した礼弥は、いまの生活から…

ラブプラス、アイドルマスター、ドリームクラブにおける携帯電話コミュニケーションの比較

以前、『ラブプラス』のコミュニケーションについて、現実の時間に対する「同期/非同期」という軸で検討を進めた。以下は参考までにそのエントリへのリンク。 ラブプラスにみるtwitter的な選択同期的コミュニケーション - hybrid issue(s) 今回は『アイドル…

ラブプラスにみるtwitter的な選択同期的コミュニケーション

ラブプラスをプレイしてみてなんとなく感じたことがあるのでそれについて書いてみようと思う。その前に、4Gamer.netにおけるTAITAI氏の考察を読んだので、その感想を先に記しておく。1.ラブプラスと初音ミクについて 常識的に寧々さんなのは間違いないけど,…

『アイドルマスターSP』に見る「関係の再構築」

Xbox360版『アイドルマスター』とPSP版『アイドルマスターSP』を比較してその物語の在り方について考えてみる。『アイドルマスターSP』はXbox360版『アイドルマスター』に比べて、かなり物語に寄り添った作品だ。それはまさに「ストーリープロデュース」とい…

初音ミクは出来ちゃった結婚の夢を見るか?

速水健朗氏の同人誌『Better Living Journal』に収録された『「テクノ歌謡の未来」〜初音ミクが出来ちゃった結婚を宣言する時代〜』を読んで思ったことを書いてみる。なお、以下で用いられるアイドルという単語はすべて女性アイドルを指すものとする。最初に…

ライトノベルのインターフェイスについての思いつき その4

久しぶりにライトノベルのインターフェイスについて少し書いてみる。ライトノベルは改行の頻度が高い。作品によっては1〜2文程度で改行を挟むことが多い。その改行頻度の高さによってひとつのパラグラフが非常にスリムなものとなる。そのため、文章をパッと…

後退する直截的描写と前景化する絶望 - 『ブラッドハーレーの馬車』について

沙村広明による『ブラッドハーレーの馬車』を読んだ。印象的な物語だったのでその感想を書いてみたい。以下、ネタバレ。あとがきで著者は次のように記している。 というか実のところ、最初は「エロい漫画にしよう」と心掛けたつもりが途中からどんどんエロシ…

「契約」と「再契約」として描かれるビルドゥングスロマン

ぼくが以前書いた『「ある日突然現れた女の子と◯◯する」アニメやラノベと社会の関係についての一考察』について、泉信行氏(id:izumino)とtwitterやチャットで何度かやり取りをさせて頂いていた。今回のエントリはそのときのやり取りをベースにしている。具体…

Justice / A Cross The Universe

18ヶ月におよぶ北米ツアーの様子を収めたドキュメンタリーDVDとそのツアーにおけるサンフランシスコでのライヴを収録したCDのパッケージ。ドキュメンタリーの監督は"Stress"のPVでも監督を務めたロマン・ガヴラス、Ed Bangerのアートワークを担当しているSo-…

濱野智史/アーキテクチャの生態系

本書は濱野智史氏による評論であり、"アーキテクチャ/環境管理型権力"からウェブとウェブ上のコンテンツを、ひいては現在の社会を考察するという内容になっている。ここで肝となるのはタイトルにも含まれた"生態系"の概念である。ウェブとそこで展開される多…

デウス・エクス・マキナとしての高野晶から考える『スクールランブル』

『スクールランブル』について少し思っていることがあるので書いてみる。いくらかネタバレしながら。この作品は「他者はあくまで他者であり、完全に分かり合うことはできない」ということをテーマとしているのではないかとぼくは思っている。それはこの作品…

涼宮ハルヒという名の物語の永続システム

twitterからの転載。発端はカトゆーさんの以下のポストから。 「ある日突然現れた女の子と○○し始めるアニメ」最近多すぎ、って話はJPOPは王道のコード進行多用しすぎ、に近いものがあるように感じる。 http://twitter.com/katoyuu/statuses/963665073 これを…

若手批評家サミット2008に行ってきた

若手批評家サミット2008に行ってきたので感想を軽くメモしておこうと思う。ぼくは会場でメモを取らなかったのでこれから記憶を頼りに書くことになる。詳細なレポートとはほど遠いが、いち参加者の感想として読んでもらえればと思う。「若手批評家サミット」…

パラレルな物語空間とリニアなゲーム体験 - リトルバスターズ!について

VisualArt's/Keyのノベルゲーム、『リトルバスターズ!』に関する考察。以下の内容はExではなく無印を対象とし、ネタバレを含む。1.『リトルバスターズ!』の構造 『リトルバスターズ!』の構造を大まかに記せば、以下のようになる。 平凡な日常を経由して、…

ペルソナ4に向ける眼差し その3

ペルソナ4のテーマについての検討。本文にはネタバレはないが、以下のリンク先にはネタバレあり。 ペルソナ4に向ける眼差し ペルソナ4に向ける眼差し その2 以前から指摘しているように、ペルソナ4には現代的なテーマとそれに対する問題意識が見え隠れする。…

ペルソナ4に向ける眼差し その2

以下、ラストまでプレイした上でのネタバレを含む感想というか批評用のメモ書き。やはりこの作品には現代的なモチーフが数多く見られた。以前書いたことと合わせて、いずれ批評の対象にしてみたいと思う。 加害者への報復行為が象徴するもの 物語の途中、主…

ペルソナ4に向ける眼差し

ペルソナ4をプレイしている。ゲーム内時間の8月第1週まで進めたのだけれど、この物語には現代的なテーマや問題意識を見ることができるなあと何となく思っているところ。というわけで8月第1週までのネタバレを含みつつ、気になったことを書き連ねてみる。 フ…

舞城王太郎の文体についての思いつき

twitterにポストした、舞城の文体に関する思いつきをまとめた。 舞城王太郎の文体についての思いつき。舞城の作品を読んでいて思うことは、会話文と地の文の速度の違いだ。結論から先に言ってしまえば、舞城は地の文が圧倒的に速く、しかし会話文に速さは感…

初音ミクをプロデュースするというUGC的消費

1.はじめに 先日公開した以下のエントリで、ぼくは初音ミクをユーザ生成型キャラクター--User Generated Character--として捉えた。 初音ミクの主体、物語の断片、データベース ユーザ生成型キャラクターとは、ユーザがコンテンツを投下していくことで初音ミ…

ぼくが初音ミクを反復する理由

表題の件について、たぶんこれだなという理由が見つかった。ぼくが初音ミクについて繰り返し書き続けているのは、初音ミクが音楽とサブカルチャーをつなぐメディアだからというものに加えて、批評に音楽の文脈を持ち込めるからという理由が強く影響している…

舞城王太郎 / イキルキス

ネタバレなしで一行感想。宇野常寛氏に目配せでもしてんのかと思った。内容自体はおもしろかったので、気が向いたらちゃんとした感想や考察を書くかも。

コエカタマリンのメタ・フィジカルな性質

ユリイカ6月号に収録された夏目房之介氏、宮本大人氏、泉信行氏の鼎談『マンガにおける視点と主体をめぐって』を読んだ。以前このブログで『漫画をめくる冒険』の感想を書いたのだけれど、ぼくがそこに込めたつもりのものがここで明快に言語化されていた。こ…

ピアノ・ファイア・パブリッシング / 漫画をめくる冒険 〔上巻・視点〕

イズミノウユキ氏(id:izumino)による『漫画をめくる冒険』を読み終えた。非常におもしろく、良い批評だと感じた。本書は漫画論であり、個人的なことを記すとぼくは普段マンガをあまり読まない(もちろん嫌いなわけではない)。だから『漫画をめくる冒険』で中…

ライトノベルのインターフェイスについての思いつき その2

twitterからの転載。 ライトノベルのインターフェイスについての思いつき その2。その1では、ライトノベルの改行頻度と検索性能の関係性についてを指摘したけれど、今回はそれをさらに押し進めてみたい。フォーカスするポイントは、ライトノベルのマンガっぽ…

橋本紡 / 半分の月がのぼる空

ありふれた物語。凡作、という意味で"ありふれた"という言葉を使っているわけではない。ここにはぼくたちをエンターテイメントの世界に誘うような非日常はない。少年がいて、少女がいて、死があり、恋がある。ありふれたガジェットを用いて、ぼくたちは限ら…

マッシュ・アップにとって優しい時代になればいいね

「コピーされ、2次創作されてこそ売れる時代」――伊藤穣一氏に聞く著作権のこれから (1/2) リンク先は内容的に思うところもあるけれど、ここではその是非は置いておいて、夢見がちなぼくとしては文学的マッシュ・アップの可能性とか考えたりしておく。あと2Ma…

秋山瑞人 / イリヤの空、UFOの夏 その4

戦闘美少女(ファリック・ガール)が恋する少女になることで、ぼくたちはそこに彼女の外傷を幻視し、彼女をヒステリー化する。そもそも戦闘美少女とは何だろう。それは戦う理由、つまり外傷性を欠如しながらも戦闘能力を有してしまった存在のことだ。では、…

秋山瑞人 / イリヤの空、UFOの夏 その3

伊里野加奈の希薄な存在感と空虚な主体は、あくまで記号的で、虚構の象徴のようだ。しかし、彼女に心理的変化--初めてお守りを欲しいと願った--が起こる。以前、彼女をピグマリオン系のファリック・ガールと表現したが、ここからその意味が反転を開始してい…

秋山瑞人 / イリヤの空、UFOの夏 その2

もし彼女が世界の均衡を維持するために戦っているとしたら、それは彼の日常を守るために戦っているという意味を持つのだと思う。『イリヤの空、UFOの夏』は、典型的なセカイ系的構造を抱えた物語であり、主人公のために戦う典型的な戦闘美少女の物語でもある…