『最前線』プレオープン前夜祭


本日開催された星海社の『最前線』プレオープンのイベントに参加してきた。理由は『最前線』における作品の無償公開、DRMフリーといった試みに興味を持ったから。前半は太田克史編集長によるウェブサイト『最前線』のプレゼンテーション、後半は『最前線』の制作に携わった関係者による座談会という構成だった。サイトのオープンは9/15の正午らしいけれど、先行して見ることができた。なかなかおもしろそうだと同時に、気になる部分もいくつかあった。前夜祭の中で印象的だったところをメモ書きしてきたので、以下公開。

  • 『最前線』のサイトはHTML5でコーディングされているが、現時点ではHTML5を使わなければできないことをやっているわけではない。
  • 小説、マンガのビューアを用意しており、プラグイン無し、ブラウザのみで動作する。
  • サイトには『最前線』のハッシュタグ(#sai_zen_sen)や、個別のコンテンツのハッシュタグ付きツイートを表示する領域がある。
  • また特定のページには「ツイートする」ボタンや「はてなブックマークする」ボタンが備わっている。
  • コンテンツは「フィクションズ(小説)」、「コミックス(マンガ)」、「最前線スペシャル」の3つ。
  • 「フィクションズ」は2本公開。
  • 小説は、ウェブサイトに画像を埋め込む形式ではなく、テキスト。従ってコピーアンドペーストが可能。また、ビューアの機能を利用して、気に入った部分を引用しながらのツイートも可能。
  • ルビや三点リーダダッシュなどが綺麗に表示されるように工夫した。
  • 小説中でルビのある箇所を引用してツイートすると、ルビをカッコに入れた形式に自動で変換する仕組みがある。
  • なお、小説は縦書きではなく横書き。
  • 「コミックス」は3本公開。
  • 「コミックス」も「フィクションズ」と同様のビューアで閲覧できる。ページ送りは横ではなく縦方向。
  • また、気に入ったページを引用してのツイートも可能。将来的にはコマ単位のツイートもできるようにしたい。
  • 「最前線スペシャル」のコンテンツは2つ。
  • 『竹画廊』はイラストレーターの竹がイラストをアップしていくコンテンツ。
    • キャッチコピーは"「あなた」とのコール&レスポンスで創り上げる、ライブなデジタル画廊!"。
    • ツイートで竹へのリクエストが可能な模様。
    • イメージはお絵かき掲示板*1
    • 今後、安田朗西村キヌ箸井地図らの参加も計画されている。
    • 本日のイベントでは、太田克史が竹に電話してリアルタイムでイラストをアップするというパフォーマンスあり。
  • 「最前線スペシャル」のもうひとつのコンテンツは「坂本真綾の満月朗読館」。
    • 満月の日のみ、コンテンツが公開される。
    • 第一回は9/23(木)の22時。朗読は宮沢賢治銀河鉄道の夜』第9章「ジョバンニの切符」から。
  • 今後の展開は以下のとおり。
    • 2010年冬、星海社FICTIONS、星海社文庫とのメディアリンクを実施。
      • 現状ではこれが無いので、『最前線』は「プレオープン」という位置付け。
    • 同時期に会員機能を実装予定。
    • 2011年春には携帯電話への対応予定。
  • 「FICTIONS新人賞」の立ち上げを実施。
    • 星海社FICTIONSの売上の1%が新人賞の賞金となる。
  • DRMフリーについて。
    • 作家も自分の作品が人の目にふれて欲しいと思っている。フリーで公開すれば、国内だけではなく、英語や中国語にも翻訳されてウェブ上にばらまかれるだろうことを想定している。紙ではリーチしきれないところへアプローチすることができる。*2

ちなみに星海社の立ち上げについて、編集長が「講談社ではなく星海社を立ち上げて『最前線』を始めたのは、"ゼロだから"。講談社で始めれば、講談社という名前がついて回ることになる。」、「大企業の一部署の場合、収益は企業のものだが、星海社でやったことは星海社の収益として次のアクションに再投資できる」、「金を儲けるだけなら奈須きのこに新作を書いてもらって同人誌を売るという手段もあるが、それでは未来は何も変わらない」という主旨の発言をされていたのが印象的だった。

個人的には、DRMフリーでどう収益を上げていくのかが気になっていたのだけれど、星海社FICTIONS、星海社文庫といったキーワードがあったので、おそらくフリーミアム的なビジネスモデルなのではないかと思う。なお、出版物は、発行は星海社、販売は講談社になる模様。あるいは、出版だけではなくイベント事業もやるようなので、そちらでも採算を合わせていくのかもしれない。

先に「フリーミアム」と書いたけれど、個人的にはもっとおもしろいビジネルモデルだとカッコいいなと思っている。ここから何が始まっていくのか、引き続きフォローしていこう。

*1:ちなみに太田克史が竹を見つけたのもお絵かき掲示板らしい。

*2:この部分だけ見ると「海外へリーチしたい」とも読めるが、本日のイベント中の発言ではそういったニュアンスは無かった。単純により広く展開したいということなのではないかと思う