はっとりみつる / さんかれあ (2)

はっとりみつる / さんかれあ (1) - hybrid issue(s)


つづき。

ブコメというジャンルでは、紆余曲折の果てに主人公とヒロインが結ばれることで物語がゴールを迎えるという展開がオーソドックスな形式だといえるかもしれない。その場合、「恋愛の進展を阻む障害」を物語のところどころに設置していくことで、ゴールに到達するまでの物語のテンション(緊張感)を維持しつつ、連載モノとしての寿命を引き延ばしていく。そのように考えると、ラブコメでは、「恋愛の進展を阻む障害」を、作家がどのように設定するのかという部分が物語の特色になってくるのではないかと思う。「恋愛の進展を阻む障害」は、例えば恋敵というかたちを取ることもあるだろうし、あるいは主人公の自意識みたいなものが邪魔をするというケースもあるだろう。

そして『さんかれあ』。主人公とヒロインの間に設定された「恋愛の進展を阻む障害」は「少年マンガ的な敵キャラ」として現れるようだ。2人の最初のハードルはヒロイン・散華礼弥(さんかれあ)の父親。2人は協力してこの障害を退ける。その描写はラブコメでありながら、少年マンガ的なバトルものを思わせるものだった。そして、どうやら3巻以降でも引き続きハードルが「少年マンガ的な敵キャラ」のような形式で登場するようなので、この構図が『さんかれあ』という物語の基本的な枠組みになって、2人の恋愛を阻みつつ、物語が引き延ばされていくのかもしれない。

よって2巻では、1巻で示された「ヒロインがゾンビであるがゆえに、主人公が"彼女の腐敗する肉体"というタイムリミットと否応なく向き合わざるを得ないラブコメ」という大枠は少し後退しているように感じた。個人的にはこの設定がもたらす焦燥感と緊張感が『さんかれあ』の大きな特徴だと思っているので、「恋愛の進展を阻む障害」を繰り返してヒロインのタイムリミットを無限に後退させてしまうと、『さんかれあ』特有の焦燥感や緊張感を薄れさせることにもつながるだろう。今後は、作者がどのようにして物語(ヒロイン)を延命させつつ緊張感を維持していくのか、注目してみたい。